タスクの優先度レーダー
プロジェクトの初期はやるべきことが多く、タスクが溢れてしまいがちです。そして「タスクが溢れている」というプレッシャーが精神的な負荷となり、焦ってさらに考えがまとまらなくなって、さらにプレッシャーが……という悪循環に陥りがちな学生の皆さんをしばしば見かけます。
タスクをポストイットに書き出してまずは落ち着く
そんなときはタスクをとにかく書き出すことを学生の皆さんにはお勧めしています。不安と同様に、溢れたタスクは書き出すことで落ち着きが得られます(そして意外とやるべきタスクがそれほど多くないのに驚くことも多いです)。
そのうえで何から手を付けるかを考えるために、Lean Enterprise in Action のレーダーをアレンジしたものを使ってみることがあります。今日はその優先度のレーダーについて書きます。
優先度のレーダーにタスクを整理する
簡単に言えば、タスクをポストイットに書き出して、
- Now(今)
- Next(次)
- Later(あとで)
の三つのカテゴリに分けて円状に整理するだけです。
すると以下のような形になります。
真ん中に「今やるべきこと」を持ってくることで、真ん中の領域は物理的に混雑します。その結果、必然的に優先順位付けが必要になるため、作業の WIP 制限を付けるのと同じような状況が発生します。
そこでおおよそ Now が 2, 3 個になるように調整してみてください(結果的に 4, 5 個になることも多いですが)。
なお、この #Now, #Next, #Later のタグ付けは Slack のプロダクトマネジメントなどでも活用されているようです。
ポストイットの置き場所をタスクの種類で分ける
またポストイットの置き場所をタスクの種類によって分けることもお勧めしています。たとえば今は、プロジェクトの初期には以下のような 8 つに分けてみるのはどうかと考えています。
- 資源獲得(お金、時間、メンバー募集など)
- チームとコミュニケーション(定例Mtg、Slack を立てるなど)
- 調達(資材、環境構築、データなど)
- 設計(アーキテクチャ、UX、競争優位性など)
- 実装(コーディング、工作など)
- デリバリー(デプロイ環境の用意、チャネルの選定など)
- 顧客(顧客インタビュー、インサイト、顧客候補、コンテストの要件を調べるなど)
- その他
こうすることでタスクの抜け漏れをある程度なくしながら、自分たちのタスクを書き出していくことができます。
元ネタとなっている Lean Enterprise in Action のレーダーでは「人」「プロセス」「ツール」「技術」を軸にマップしています。このあたりの軸は状況やプロジェクトの種類によって変えてもいいのかなと思います。
計画は「顧客」から始まる
今回の 8 軸でポイントなのは、つい人は資源獲得からタスクを考えてしまいがちですが、本来的にはタスクは「顧客」からの順で考えてほしい、という点です。これは Lean Startup の Build-Measure-Learn ループが、Learn-Measure-Build の順で考えるべき、という発想と同じです。
まずは顧客のところにポストイットが十分あるかどうかをチェックして、顧客の課題やジョブを把握しに行っているかどうかを確認しています。
ポストイットの色を分ける
ポストイットの色を分けると、タスク以外のものをうまく整理できるので、余裕があるときにはタスクの種類に応じたポストイットの使い分けもお願いしています。たとえば以下のような分類です。
- 黄色:確実に発生する作業
- ピンク色:リスクや不安
- 水色:検証すべき仮説や実験
ただ時間がないときなどはすべて黄色のポストイットで実施してもらっています。またその場合、タスクの粒度に関してもあまり気にせず書いてみてもらいます。
実践は大きな場所で
実施するときには大きめの壁や机でやることが多いです。大きなスペースでないと十分なタスクの優先順位付けができないからです。大きな机がない場合は壁を低めに使ってもらいます。
外になればなるほど後回しでよいということがわかって、とりあえず心の落ち着きを得てやるべきことが見えてきます。
タスクを簡単に整理するだけでも一歩踏み出す精神的余力が生まれるので、タスクが溢れてるな、と思ったときは一度実施してみてください。
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