新書「逆説のスタートアップ思考」を 3/10 に出版します — 目次公開 / 社内セミナーの受付
2017 年 3 月 10 日に「逆説のスタートアップ思考」という本を中公新書ラクレから出版させていただくことになりました。本日から Amazon 等で予約を開始しています (Amazon は 3/8 出荷のようです)。
(22:30 追記)おかげさまで Amazon 新書ランキングで27位、ビジネスで40位まで来たみたいです。本当に予約注文いただいた皆さんのおかげです!(これを機にスタートアップという言葉ももっと普及すれば良いなと…)
本書は「逆説のスタートアップ思考」のスライドをベースに内容のアップデートを行い、さらにこれまでの他のスライドの要点をおさえつつ、新書として入門者にも読みやすいようにコンパクトにしたものになります。
本記事には目次と、それぞれのトピックに関連する記事を紹介しています。目次をお目通しいただき、ご興味ありましたら是非今のうちにご予約下さい。Kindle 版は発売後しばらく経ってからのようなので……。
執筆の経緯
執筆した目的は、まずは何よりスタートアップを始める前の方々にスタートアップに使える考え方を伝えたい、というのが最初にあります。またもう一つの目的として、本という流通経路を取ることで、これまでスタートアップに縁のなかった人にも届けば、とも思っています。
これまでのスライドは「これ読んでおいて、とぽんと渡せて便利」という感想を良く聞いており、今回本を出版することで、「これ読んでおいて」と渡せる人の幅が広がることを期待しています。特に大企業の管理職の皆さんあたりに届けば、大企業とスタートアップの健全なコラボレーションも広がるのかなと…。
出版記念(社内)セミナーの受付のお知らせ
上述の通り、今回あえて出版という形態を取ったのはスタートアップ的な考え方をこれまでリーチできなかった層にも広めたいからです。
そこで出版後少しの期間だけ、書籍を 50 冊以上購入いただいた企業様の中で、私の都合がつくところには 1 時間程度の社内セミナーであれば伺わせていただこうと思います。
50冊というと多いように感じますが、税込みでたかだか 50,000 円ぐらいなので、研修費と考えれば安いほうだと思いますし、書籍を持って帰れるセミナーだと思うと安いのかなと…。
私に入ってくる印税も交通費+飲み会一回程度なので、今回は儲けというよりはこれを機会にスタートアップ的な考え方についての理解が広まれば、わずかながらでも日本のスタートアップエコシステムへの貢献になるのでは、という考えで試しにやってみたいと思っています。といっても、2, 3 件ぐらいしか受けられないかもしれませんが…。
申し込みフォームは以下に用意しています。(記入項目は連絡先情報の 4 問程度でモバイルからも可能です)
年度末の研修予算の消化も兼ねて、ご検討いただければと思います。都内であればお伺いするつもりです。お申込みはとりあえず 2/20 (月) を目処に締め切らせていただきます。なお冊数は予約や予定数で結構です。
(追記)「50 冊買うからセミナーではなく相談に乗って欲しい」という話をいただきました。極力そういう形のものも受けさせていただこうと思います(代わりに、周りのスタートアップに興味持ってもらいたい方々にぜひ配って下さい…)。
新書の目次
目次(予定)は以下のとおりです。目次を見れば大体言いたいことは分かるかなと思います。
また関連する記事にリンクを張っています。
はじめに
前章 スタートアップとは
- スタートアップとは
- なぜスタートアップなのか
- 「スタートアップ思考」が体系化され始めた
- サバイバルするためのスタートアップ思考
- 健全な社会のためのスタートアップ
第一章 アイデア――「不合理」なほうが合理的
- スタートアップとは「反直観的」である
- 「不合理」なほうが合理的
- 「悪く見えるアイデア」を選ぶとはいえ
- 「難しい課題」のほうが簡単
- ソーシャルインパクトの重要性(→ Medium: 次のスタートアップのパーティー会場を探して:「社会に良い影響を与えれば儲かる」という流れと”社会的インパクト投資”)
- 「面倒な仕事」を選ぶ(→ Medium: 企業は「面倒な仕事」によって定義され、お金をもらう)
- 「説明しにくいアイデア」を選ぶ
- より良いものではなく「異なるもの」を
- 「反領域的な課題」へおもちゃのような解決策を(→ Medium: 「反領域的なスタートアップ」という考え方と、狂ったアイデアの気付き方)
- 今はまだ「名状しがたい何か」(→ Medium: 狂ったアイデアは、「今はまだ名状しがたい」狂った問題から始まる)
- 考え出すのでなく「気付く」
- 急速な変化は「徐々に始まる」(→ Medium: 成功するスタートアップは一夜にして成功する、ただし)
- 「Why Now?」
- 着目すべきは「劇的に変化するテクノロジ」(→ Medium: テクノロジやツールは指数関数的に進歩しているので、世界はこれからもきっと良くなる(良くする))
- インベンションから「イノベーション」へ(→ Medium: 答えが問いを待っている(技術が課題を待っている))
- スタートアップは「べき乗則」である(→ Slideshare: 起業家向けベンチャーキャピタル入門 (1) VCの仕組み編)
- ヒットではなく「ホームラン」
- 「ビジョン・ミッション・ストーリー」の重要性
- 「未来の仮説」としてのスタートアップ(→ Medium: 未来の仮説としてのスタートアップ)
- コラム:アイデアのチェックリスト(→ Medium: スタートアップ向きのアイデアかどうかのチェックリスト)
第二章 戦略――小さな市場を独占せよ
- 競争ではなく「独占」
- 競争は「偏る」
- 独占が消費者へ提供する「メリット」
- 独占の「条件」
- 「イノベーションのジレンマ」を利用する
- 「小さい市場」を狙う
- 「急成長する市場」を狙う
- 「長く」独占する
- 「徐々に」広げる
- 競争したら「負け犬」
- 先行者利益よりも「終盤を制すること」
- 価値の大きさと価値の割合は「独立」している
- 独自の「価値」と独自の「やり方」(→ Slideshare: スタートアップの戦略&ビジネスモデルの考え方)
- 「何をしないか」決める
- 「最高」を目指さない
- 戦略は「実践」から生まれる
- コラム:大企業でアイデアを守る仕組みの重要性(→ Medium: オープンイノベーションと闇イノベーション)
第三章 プロダクト――多数の「好き」より少数の「愛」を
- 製品が通る道
- 「人が欲しがるもの」を作る
- 「製品以外」もプロダクト(→ Slideshare: ゼロからはじめるプロダクトマネージャー生活)
- プロダクト体験は「仮説の集合」
- 「今日はどうやってプロジェクトを殺そう」
- 顧客自身も「分かっていない」(→ Slideshare: 人間と話す)
- 多数の好きより「少数の愛」
- とにかく「ローンチ」
- 「スケールしない」ことをする(→ Slideshare: マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう)
- でも「成長率」を追う
- 「継続率と離脱率」で愛を測る(Slideshare: 君にグロースハックはいらない)
- 「口コミ」で愛を測る
- 「マジックモーメント」は一刻も早く
- 「メトリクス」を追跡する
- メトリクスが従うのは「ビジョン」(→ Medium: 「御社の独自のメトリクスは何ですか?」あるいはプロダクトのビジョン)
- メトリクスは「一つ」
- 追跡は「徹底的に」
- 「サポート」は製品開発だ
- これから必要なのは「カスタマーサクセス」(→ Slideshare: カスタマーサポートのことは嫌いでも、カスタマーサクセスは嫌いにならないでください)
- 「セールス」も製品開発だ(→ Slideshare: セールスアニマルになろう)
- 「ディストリビューション」がボトルネック
- 経営を「ハック」する
- 最後のプロダクトは「チーム」
- コラム:スタートアップはモメンタムを失ったら死ぬ(→ Medium: スタートアップはモメンタムによって生き延びる)
第四章 運をコントロールする
- 起業家の「リスク」とは(→ Medium: 起業家はリスクを極力取らない)
- 「バーベル戦略」でブラックスワンを回避する
- 「アンチフラジャイル」に賭けろ
- 「回数と速度」はコントロールできる
- 「量」が「質」を生む
- 「損」は怖い?
- 「大きな負け」を避ける
- 「助け合う」こと(→ Medium: シリコンバレーはただの場所ではなくマインドやコミュニティである)
- コラム:東大生とスタートアップ(→ Medium: 実はキャリアで損をしやすい高学歴エリート学生たち)
終章 逆説のキャリア思考
- スタートアップ思考をキャリアに組み込む
- 人生におけるバーベル戦略とアンチフラジャイルの価値
- 偶然性、不確実性、ランダム性、ボラティリティ
- キャリアのランダム性(→ Slideshare: 転職基準)
- スタートアップは安易にお勧めできない
- スタートアップのことなんて知らなくていい
- やりたいことはやってみないと分からない
- まずはサイドプロジェクトから(→ Medium: スタートアップの時代の終わり(そしてプロジェクトの時代))
- 逆説のスタートアップ「試行」
おわりに
- 今を生きる私たちにできること
- 誰かの挑戦で世界は良くなっている
- より少ない人数で世界は変えられる