起業半年後のクライシス

Taka Umada
4 min readFeb 1, 2017

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起業家の方と話していると、「実は起業してから半年後にこんなことがあって……」と、起業後半年から一年ぐらいで会社の方向性を決める大きな出来事が起こっていた、という話をしばしば聞きます。

しかもその出来事の大概は、会社の存続の分岐点となる「悪い出来事」だったりします。その種類にもいろいろあって、

  • 一年ぐらい余裕と見積もっていた資金が予想以上に早く尽きる
  • プロダクトを半年で作り終えて営業を始めたものの、まったく売れなかった
  • 起業前から作っていたプロダクトの成長が鈍化して、チーム内の雰囲気が悪くなる
  • 創業初期の熱狂が冷めてきて、進むべき方向性を見失う(あるいは見失っていることに気付く)
  • そして会社の方向性をゼロから議論して、創業者同士がケンカしたり険悪になる
  • 実は不満を溜めていた初期メンバーが突然辞める
  • アクセラレータなどを卒業した後にモメンタムが続かない (Y Combinator にも「YC 後のスランプ」という話もあります)

等々、いわゆる「モメンタムを失う」「メンバーが悲しみの谷に疲弊する」というのが、起業半年から一年後に起こるのかなという印象です。

今やかなり大きな企業となったあの Airbnb も、以下の講演書き起こし記事で紹介されているように、創業初期は大体半年ごとに迷走していたようです。(なお Youtube の Brian Chesky の動画は勇気づけられるので是非見てみて下さい)

半年は事業的にもちょうど見直しが入るタイミングであることも考えると、もしかしたら大企業の新規事業なども半年というタイミングで何かが起こりがちなのかもしれません。

また 650 社以上のインターネット系スタートアップを解析した Startup Genome Report v2によれば、Steve Blank 的なステージの整理では、一番最初の「発見」と「検証」の2つのステージが、まさにその半年から一年といった期間です。

Startup Genome Report の p.7 を翻訳

ここでこのステージをクリアできなかったスタートアップはシャットダウンするであろうことを考えると、やはり半年から一年といったあたりで一度気合いを入れ直さないといけないのだろうなと感じています。

逆に言えば、この半年から一年というタイミングでの悪い出来事を乗り越えれば、しばらく生き延びることができるのかもしれません。それこそ、Airbnb がオバマのシリアルを作ってでも生き延びたように、です (これについては 2008 年の TechCrunch の記事にもなってます。結局そんなに売れなかったみたいですが、自分たちで食べたとのこと)。

https://www.airbnb.jp/obamaos

スタートアップではありませんが、私の取り組みも今日 2/1 で半年を迎えます。モメンタムを落とさないように気をつけていきたいと思いますが、とはいえ「うちではこんなことがあった」「実はこういうので躓いて」みたいな話があったら是非今度こっそり教えてください。予め手を打っておけるところは打っておきたいなと思っています…。

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Taka Umada

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein