フェーズ別 Web/SaaS 系スタートアップ向け分析ツール導入ガイド (2017 年版)
先日の CVC 向けメトリクス勉強会でも紹介した「The Startup Founder’s Guide to Analytics (スタートアップ創業者のための分析ガイド)」というとても良い記事があります。誰かが訳すかなと思っていたのですが、なかなか訳されないようなので簡単に紹介しておきます。詳しくは元の記事を御覧ください。
現在 Fishtown Analytics の CEO の Tristan は、Squarespace や RJMetrics、Argyle Social などでの分析系の実務経験を経て、現在はシリーズA以降のスタートアップ向けに分析ツールコンサルを行っています。彼はスタートアップの従業員数を軸に以下のフェーズに分け、それぞれのフェーズで必要な分析ツール(あるいは不必要な分析ツール)を紹介しています。
- 0–10 人
- 10–20 人
- 20–50 人
- 50–150 人
- 150–500 人
この記事を元に、自分たちの会社規模に即した分析ツール群がきちんと導入されているか(あるいはあまりに多く導入されすぎてないか)を考えつつ、あくまでこの記事は理想なので、それを踏まえた上でうまく自分たちに活かせそうなところを見つける指針になれば良いのかなと思います。
0–10 人: 基本の分析ツールだけに留める
Google Analytics と Google Tag Manager は基本として入れておき、イベントトラッキングとして Mixpanel か Heap の導入が勧められています。このあたりは本当に簡単に導入できるので、ノンテクの創業者でもやっておくと良いかと…。
会計ツールとして Quickbooks、サブスクリプションビジネスなら Baremetrics がお勧めされています。日本では少し違うかもしれませんね。
あとは不必要なことはやるな、というのがこのフェーズです。
10–20 人: 出来合いのツールを導入
マーケやセールス担当の人が入ってくるフェーズなので、UTM トラッキングや CRM の導入を始めつつ、NPS を計測するために Wootric か Delighted を導入する、というのが指針です。
20–50 人: データのインフラを整えはじめる
グーロスしていくための基盤づくりのために、data warehouse、ETL、BI ツールの導入を開始するフェーズで、この部分が一番難しくクリティカルだそうです。
データウェアハウスでは Snowflake か Redshift。ETL は Stitch と Fivetran、BI ツールとしては Mode や Looker などを検討するのがお勧めとのこと。記事にかかれている通り、分析担当者やコンサルタントを雇うことを検討しても良いと思います。
50–150 人: データモデリングや自前運用開始
OSS を活用しながら自社ならではのグロースを追い求めていくフェーズです。データサイエンティストの雇用を考える時期であるとも書かれています。
SQLベースのデータモデリングプロセスの確立は Fishtown Analytics が公開している dbt などで。3rd party 製のツールだと間に合わない&課金が重くなってくる頃なので、Web 分析やイベントトラッキングは Mixpanel 等から Snoplow Analytics に移行。とはいえ、あまりに重い投資をするのも無駄になるので、Spark や Hadoop の環境を揃えていくのではなく Jupyter Notebooks などの活用も検討をしてもいいかも、ということでした。
150–500 人: スケールする分析プロセスづくり
分析専門の人が 3–6 人以上フルタイムでいるような状況です。Airbnb の知識のスケーリングの記事や Creating a Data-Driven Organization などに参照が張られています。
コンサルタント目線からのレコメンドですが、スタートアップのフェーズを確認しつつ分析基盤を整えていく上で一つの基準点になる良い記事ではないかと思います。「何をやるべきでないか」もきちんと書かれている元記事も是非ご参照ください。