CVC とプラットフォームファンド
API Economy という言葉が広がるのと並行して、特定のプラットフォームを盛り上げることを狙ったファンドの組成がここ数年見られるようになりました。その例を以下に挙げます。
Salesforce Platform Fund に習って、この記事ではそうしたファンドのことをプラットフォームファンドと呼ぶことにします。
こうしたプラットフォームファンドの特徴としては、
- 従来の API 提供や開発者向けプログラムを用意しつつ、そこから一歩進んでスタートアップに出資もする機能
- VC と組んでいるところが多い
- CVC と並行して実施するところもある
などがあるように思います。
未上場のスタートアップがプラットフォームファンドを組成する際には、そのスタートアップに投資している VC が提案しているパターンもあるようです。
1億ドルのファンドの件は、Princeによると、Cloudflareのアイデアではなくて、投資家たちの提案だ。“彼らはとても熱心だった。NEA、Venrock、それにPelion Venture Partnersらは、人びとがCloudflareのプラットホームの構築と拡張に挑戦すれば、そのスケールとパワーを自分でも納得するだろう、そしてそれが、もうひとつのすごい企業を作る機会であることに気づく、と主張するのだ”、と彼は語る。彼らは、Cloudflareをベースとするアプリケーションを、Cloudflareの新たな分身のように感じている。(TechCrunch, “Cloudflareがデベロッパープラットホームとその開発努力を支える1億ドルのファンドを創設”)
他の例を見てみれば、Google は GV や Capital G がある中で、AI 特化の Gradient Ventures を立ち上げたりしています (2017 年)。
CVC と並行して何かに特化したファンドを立ち上げるということは、通常の CVC とは別ラインにすることで、意思決定を早くしたり、別の投資基準を適用したりする試みなのかもしれません。
プラットフォームアクセラレーターも
その他、コーポレートアクセラレーターとは別に、特定のプラットフォーム上での開発を支援するプラットフォームアクセラレーター的な機能を持つところも出始めています。
たとえば Amazon Alexa Accelerator を TechStars と組んで始めているほか、Salesforce は Salesforce Incubator というプログラムも始めています。GE は イスラエルで Predix 向けの GE Accelerator を実施しているようです。
500 Startups の大企業向けレポートに、コーポレート・スタートアップ・エンゲージメント(下図)というものがありますが、急拡大するプラットフォームには、それをプラットフォーム単位で考える『プラットフォーム・スタートアップ・エンゲージメント』のようなものを考える必要も出ているのかもしれません。
日本
日本では 2009 年に mixi が mixi ファンドを、2010 年に DeNA が VC と組んでファンドを立ち上げたことがあります。近年では LINE が 2015 年に LINE Life Global Gateway を、2017 年にメルカリが Mercari Fund が立ち上げました。
2010 年前後に比べると国内スタートアップの状況が変わっている現状、今後日本でも CVC 以外にプラットフォームファンド的な機能を持つ会社も出てくるのかもしれませんし、その中からアクセラレーター的な機能を提供するようになるのかもしれません。
とはいえ欧米の企業を見ていると、まずは開発者向けプログラムや Developer Relations の組織をきちんと用意するところから始めている、という印象もあるので、そのあたりは CVC とはまた異なるノウハウややり方が必要になってくるようにも見えます。
(個人的には Developer Relations の重要性が日本でも注目されることを願ってます)
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