OKR を支える CFR

Taka Umada
5 min readJul 29, 2019

Google で「OKR 失敗」と検索してみると色々記事が出てくるようになりました。そして失敗の一つの理由は、どうやらOKR の「運用」面にあるようです。

もし運用が問題なのであれば、OKR と一緒に CFR を普及させることで、ある程度失敗の回避が可能なのではないでしょうか。ということで本記事はCFRを整理する記事です。

CFR とは

Google に OKR を導入したとも言われている John Doerr が書いた Measure What Matters の第二部では、CFR と「継続的パフォーマンスマネジメント」の話に充てられています。

CFR はそれぞれ以下の頭文字を採ったものです。

  • Conversation: 対話
  • Feedback: フィードバック
  • Recognition: 承認

CFR は同書で「OKRに血を通わせる手段」だとも書かれている、運用上で重要な概念です。

しかし CFR が OKR ほどに広まっていないように見えるのは、CFR が一つの「これをすればいい」というツールではなく、具体的に捉えることが難しいものだからではないでしょうか。そこで CFR を具体的なツールセットへと落とし込むことで、CFR の実施のために「何をするべきか」が明確にできないかなと思っています。

Conversation

基本的には 1 on 1 やチェックインを中心とした対話をより頻繁に行い、OKR の状況を確認しながら進めていくことになります。

Feedback

  • 1 on 1
  • 360 °フィードバック
  • リアルタイムフィードバック

などの集合体なのかなと思います。

年次や四半期ごとの同僚の評価 (360°フィードバック) だけではなく、Google 社では会議が終わった後に同僚同士で「さっきの会議のここが良かった、ここは直したほうが良い」というフィードバックが交わされることもあるそうです。そうしたリアルタイムのフィードバックを行えるようにすることが、OKR の達成にもキャリア開発にも役立つコミュニケーション方法です。

Recognition

ちょっとした承認が人のやる気を上げることは良く知られています。そのための手法として、

  • Kudos
  • ピアボーナス
  • 進捗の承認(ウィンセッション等含む)
  • アワード

などの取り組みをしばしば聞くように思います。もちろん 1 on 1 で進捗を承認することもその一つの手法です。

「ありがとう」の言葉を述べたり、ちょっとした称賛をしてあげるような Kudos は、Google では gThanks というツールで実現されています。LinkedIn も1年前に Kudos を簡単に投稿できるようにしたようです。

言ってしまえば CFR は OKR を支えるコミュニケーションの手法だとも捉えられます。しかしコミュニケーションだからこそ難しく、そして捉えがたいものでもあると考えられそうです。

まとめ

OKR を設定することは重要な一歩ですが、始まりでしかありません。そこから CFR を継続的に行っていくこと、そしてCFRのための活動を組み合わせながら建設的なコミュニケーションを継続的に行っていくことが、OKR を「血を通ったもの」にするための重要な活動だと言えます。

しかしこれは運用面でかなりの負担が発生します。たとえば 1 on 1 を継続的に行っていくことですら、きちんとできているところは少ないのではないでしょうか。

そうした背景を踏まえてか、SaaS 側でもそうした活動をサポートする動きが見て取れます。

https://lattice.com/ の 2019/7/29 のスクリーンショットから、CFR 部分をハイライト

たとえば Lattice のようなツールは、初期は目標管理の SaaS としてスタートしましたが、現在は OKR (Goals や Reviews) だけではなく、CFR をうまく実行できるような機能 (Feedback, Praise, 1-on-1, Updates) を兼ね備えようとしています。

OKR の取り組みを始めてからCFR を用いた OKR 運用のノウハウを溜めていくまでには時間がかかることは予見しておくべきなのかもしれません。そして OKR を導入するだけではなく、CFR の健全な実装まで長い時間をかけてきちんとできたところが、本当に力のある組織に辿り着けるのではないでしょうか。

OKR と CFR がどのように相互作用するかは以下の What Matters の資料も参考にしてください。

--

--

Taka Umada

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein