カルトと多様性を同時に許容するためのメタコミュニティ

最高のスタートアップは、究極よりも少しマイルドなカルト」とは Peter Thiel の弁です。カルト的なコミュニティは多様性を排除して、何かを盲信して突き進む能力があり、そうしたカルトからこそ新しいものが生まれると言われます。しかし一方で、多様性のあるコミュニティでの交流から偶発的に新しいアイデアは生まれるとされています。

多様性のある集団による新しいアイデアの生成と、カルトな集団による新しいものづくり、この両方が重要であれば、この矛盾しそうな二つの特徴の両立をどのように行えばいいのでしょうか。

まだ答えは分かりませんが、一つのコミュニティで多様性を実現するよりも、より大きなコミュニティ、ここでは便宜的にメタコミュニティと呼びますが、メタコミュニティにおいて複数のカルト的なコミュニティがなんとなく許容されている状況を作り上げる、というのが一つの考え方として挙げられそうです。

SXSW とメタコミュニティ

これを考える上で便利なのが SXSW です。毎年3月にテキサスで行われる SXSW は、音楽から映画、スタートアップまで、様々なジャンルのインディーズの人たちが集まるイベントです。Twitter などが爆発的ヒットを遂げたきっかけであるとも言われ、東京大学でも Todai to Texas というプログラムで様々なスタートアップやプロジェクトを SXSW に送り込んでいます(来年度に向けて企業スポンサーも募集するかもしれません)。

SXSW で共通しているのは、新しいものがたくさん集まる、ということです。そして SXSW を理解するには、SXSW を一つのコミュニティとみなすのではなく、様々なコミュニティが何故か一年に一度集まる、コミュニティの集合体が SXSW である、と考えたほうが良いのでは、という話を昨年していました。上述の造語を使えば、SXSW はメタコミュニティではないか、と言えます。

今週末私が参加する予定の、とある名状しがたいイベントも、そうしたメタコミュニティ的な特色があるのかな、と思っています。

都市や地域でのカルトと多様性の確保

たとえば本郷には様々なコミュニティスペースができつつあります。そうしたスペースを考える上では、一つのコミュニティスペースで全体を包括するような多様性を確保するのではなく、それぞれのコミュニティスペースはそれぞれのカルト的な特徴を持ちながら、本郷という地域全体のメタコミュニティで多様性を確保する、という考えをしても良いのかなと思います。

そして、それぞれのコミュニティに属する人たちが、SXSW のようななんでも受け入れてくれるイベントでたまに交流したり、個々人では疎につながっていたりすることで、新しいアイデアを生むための多様性を担保できます。

逆に一つのコミュニティだけで多様性を確保しようとすると、「多様性が嫌いな人」や「コミュニケーションが苦手な人」が逃げていくリスクがあります。

生態学にはメタ個体群といった概念がありますが、これをコミュニティの考え方に転用してみると、個々のカルトな個体群がある中で、メタ個体群として多様性や強靭さを確保する、という考え方になるのかもしれないな、と考えている次第です。

メタ個体群(めたこたいぐん)とは、局所的集団(パッチ)が多数集まり、それぞれの局所的集団は生成と消滅を繰り返しながらも存続している個体群モデルのことである。

Image for post
http://www.webpages.uidaho.edu/wlf448/2010/Lab/11LabNotes-Metapopulations2010.htm

一応今日そういう話をしたのでメモがてら投稿です。文脈としては以下の闇イノベーションの話のつながりです。

Written by

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein

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