社会実装をテーマにした新刊『未来を実装する』が 2021/1/24 に出ます

Taka Umada
Dec 23, 2020

--

英治出版様からこの度新刊を出させていただくことになりました。テーマはテクノロジの社会実装で、2020年代に社会実装を進めていくための方法論をまとめたものとなります。すでに Amazon でも予約が始まっていますので、もしよければご予約ください。

2010年代を振り返ってみると、デジタル系スタートアップにとって恵まれすぎていた年代だったように思います。クラウドや App Store の登場で起業&配布コストが格段に安くなり、Webやスマートフォンを基にした市場はホワイトスペースで、さらに市場も急拡大していました。市場の波に乗ることで、スタートアップも急成長が可能でした。

しかしスタートアップの置かれている環境はずいぶん変わったように思います。この10年で純然たるデジタル領域のホワイトスペースの多くは探索・確保され、GAFAM のようなビッグテックに占拠されています。そうした背景からか、近年のスタートアップはデジタル領域以外の、規制などがある業界や物理的な領域へと挑戦を始めています。たとえば FinTech、ConTech、RegTechなど、xTech という言葉が次々と作られているのがその流れを示しているのではないでしょうか。さらにデジタル技術の影響力が増すにつれて、デジタル技術全体が規制の対象にもなりつつあります。

こうした状況において、起業の方法論も変わりつつあると感じています。いわゆる「0 → 1」のフェーズにおいては従来の起業の方法論がいまだ有効だと思いますが、「1 → 10」や「10 → 100」のフェーズは少し異なる様相を見せています。急成長しようとしても規制に阻まれたり、ほかのステークホルダーにブレーキを掛けられたりもするでしょう。これからのスタートアップは、従来の『Move Fast and Break Things』やブリッツスケーリング的なやり方では、中々うまくいかないケースも増えてくるのではないかと考えています。

2020年代のスタートアップが「1 → 10 」や「10 → 100」などのフェーズにおいて急成長するために必要なのは、社会をどう変えていけば良いのかという政策起業家的な方法論だと考えています。社会的なインパクトを考え、規制などの社会の仕組みを良い方向に変えるよう働きかけながら、テクノロジのポテンシャルを十分に活かせるような基盤を作り、そこで新たな市場を作っていくような、新しい戦い方が起業家には必要とされているように思えます。

AIやDXなどのキーワードが注目を浴び、「デジタル技術が企業や各業界、社会や政治を変える」という期待を持たれている今だからこそ、2020年代のデジタル技術を用いるスタートアップには、規制や政治などの社会の仕組みときちんと付き合っていき、ときには社会の仕組みのアップデートを提案する力が要求されるのではないかと考えています。

そこで本書では、テクノロジの社会実装の「社会」の面を主な論点にしながら、事例やインタビューなどを通して、テクノロジの社会実装を進めるための考え方とツールをまとめました。たとえば、社会的インパクトをどう描けば良いのか、ガバナンスや規制とどう付き合っていけばいいのか、どのように納得感を醸成していけばいいのか、などの話をしています。

『逆説のスタートアップ思考』ではスタートアップの方法論の情報を、『成功する起業家は居場所を選ぶ』ではアクセラレーターに関する情報をまとめましたが、それに連なる書籍として、これからのスタートアップや社会実装にご興味のある皆様、ぜひご予約ください。

キャンペーン的なもの

こうした流れを解説したり、スタートアップ業界の中で情報を共有するため、本書に関連するようなイベントやインタビューであれば、2021年3月までは本書の特設サイトGoogle Forms から受け付けようと思っています。すべてにお答えできるわけではありませんが、もし興味があればご相談ください。

なお、本書は上記の特設サイトにも解説があるように、社会実装ワーキンググループの成果物です。私一人の力で書き上げたものではありません。メンバーの皆様、そしてインタビューや文章のチェックなどに快く応じていただいた皆様に改めて御礼申し上げます!

サムネ用画像

--

--

Taka Umada
Taka Umada

Written by Taka Umada

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein