i のつながり、e のつながり

MIT による REAP (Regional Entrepreneurship Acceleration Program: 地域アントレプレナーシップの加速プログラム)では、2つの能力が分別されています。

一つは I-Capacity、もう一つは E-Capacity です。I はイノベーション、E はアントレプレナーシップ (Entrepreneurship) の頭文字になっています。

そして MIT REAP では、イノベーション (i) とアントレプレナーシップ (e) がお互いに依存しており、この両者が必要だということを強調しています。

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MIT REAP Program

同資料によれば、百万人あたりの特許の数を i の指標とし縦軸に、1,000 人あたりの新会社設立数を e の指標にして横軸で描いたとき、日本は極端に i だけが高いという傾向を示していました。

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MIT REAP Program

i は innovation というよりも invention (発明) のほうに近いのかもしれません。また e は事業化の能力とも言えるように思います。

そして MIT の同プログラムに関わっていた方々とお話したことがありますが、日本は国レベルで I への投資のほうが多く、E への投資が少ないという分析をされていたようです。(しかし果たして特許数や創業数が良い指標なのかという議論はありました)

発明のためのつながり (i のつながり)、事業化のためのつながり (e のつながり)

こうした二つの能力の分別は、人のつながりにも応用できるのではないかと思います。

オープンイノベーションを始めとした流れの中では、新しい発明や発見を得るために社外とのつながりを求めます。しかしその多くは i のつながりです。発表会やピッチイベントでのアイデア獲得だけでなく、技術勉強会やオープンラボも i 寄りのつながりができるものだろうと思います。

しかしアイデアを事業化して実行に移し、経済的なインパクトを出すには e のつながりが必要です。そしてつながりという面においても、i のつながりが重視されて、e のつながりのほうは軽視されがちのように思います。

たとえば顧客を見つけるためのつながり、資金を得るためのつながり、規制との折衝をするためのつながり、代理店を探すためのつながり、試行錯誤できる環境とのつながりなど、実行や事業化に必要なつながりが e のつながりです。

それはもしかしたら先日書いた Keiretsu 的なつながりかもしれませんし、地域のスタートアップによる互助的なつながりかもしれません。でもそうしたつながりを意識的に作ること、そうした環境にもきちんと投資することが、本当は重要なのだろうと思います。

オープンイノベーションを担当する部署や新規事業部がうまくいかないのは「そうした部署にいる人は社内でのネットワークが薄く、また社内でそうした部門の立場が弱いからだ」という話はよく聞きますが、それもまた i と e でいうと、e のほうのつながりが薄いからだと言えるのではないでしょうか。

様々なコミュニティに顔を出すときに、今回は i のためのものか、e のためのものか、少し分別して考えながら、i と e のどちらに今時間を使うのかを考えてみるのも一つのやり方ではないかと思います。

(もちろん e のほうばかりに時間をかける人たちも一定数いるとは思うのですが、そういう人たちには近づかないほうがいいのかな…と個人的には思っています。)

Written by

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein

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