プロダクトマネージャーの教育プログラム: APM/RPM(雑文)

Taka Umada
5 min readFeb 9, 2018

ここ数年、各社でプロダクトマネージャーへの注目度が高まっているのか、プロダクトマネージャー研修の依頼があることを周りでたまに聞きます。私も今回プロダクトマネジメントのことを喋ってほしい、と言われていろいろ調べていました。そうした中で「各社はどうやって新卒 PM を育てているか」が何かしら参考になるのではないかと思い、少しだけ調べてみたので共有しておきます。

APM/RPM プログラム

新卒プロダクトマネージャーの教育プログラムとしては Google の Associate Product Manager Program が有名です。

Facebook Twitter にも同様の Rotational Product Manager Program (RPM) があり、Yelp Oath (元 Yahoo!) にも APM プログラムがあります。

これらのカリキュラムのページを見てみると、字面上は基本的に同じ構成をしていて、

  • 6か月~1年で担当製品をローテーションさせる約 2 年間のプログラムで
  • 同期でのコミュニティを作り
  • 講義がたまにあって
  • 海外派遣プログラムを含み
  • 先輩や経験者がメンタリングをしていく

というプログラムがセットになっているようです。

Associate Product Manager Program を持っている会社

体系立てて教えるのは難しい…?

逆に言えば、実地での体験とメンタリングを通して学ぶ部分が多く、体系立てて PM を教えるのはやはり難しいのかな…という印象があります。

私も今回依頼されて改めて様々な記事を読みましたが、PM に対するアドバイス記事の多くは、精神論や態度といった抽象的なものか、ツールのような具体的過ぎるものが多く、なかなか適度な抽象度のものが見つからず苦労しました。

また私も PM だった時期がありますが、基本的には先輩方の背中から学んだり、別チームの方にメンタリングを何度もしてもらったりして学んだところが多かったように思います(もちろん会社の費用で MBA の授業を受けさせてもらえたのはありがたかったですが…)。

結論は特にないのですが、プロダクトマネージャーに関する研修を何度かすれば PM が育つということはなく、継続的な教育プログラムを作ることがおそらく重要で、しかも彼らがきちんと影響力を及ぼせるような実験環境を作ってあげることが重要なのかなと。そのうえで社内外でのメンタリングの仕組みをきちんと作ることがポイントとなりそうです。

あとは内容が各社であまり変わらないのであれば、その教育プログラムを担当する人がどれだけの熱意でやりきるかが重要なのかなぁと思ったのでメモしておきます。

APM 出身の有名人

さて、Google の APM はエリートコースだと言われています。How Google Works によれば、もともと「新卒のとびきり優秀なコンピュータ科学者を採用するための制度をつくれ」と幹部が Marissa Mayer に言って作られた制度だそうなので、幹部候補がそこから生まれてくるのは当然なのかもしれません。

実際にどういう人材が輩出されたかというと、Google の APM の成果についてはこちらの Quora にまとまっていました。

  • Brian Rakowski (VP Android at Google, now runs the APM program, early PM on Gmail and Chrome)
  • Bret Taylor (CEO Quip, ex-CTO Facebook, early PM on Google Maps)
  • Justin Rosenstein (Co-founder Asana)
  • Wesley Chan (Managing Director at Felicis Ventures, ex-partner at Google Ventures, founder of Google Analytics and Google Voice)
  • Jess Lee (CEO Polyvore, early PM on Google Maps)
  • Dan Siroker (CEO Optimizely, early PM on Chrome)

ちなみに How Google Works では、Instagram の創業者である Kevin が APM 制度で落とされたことが書かれています。理由はCSの学位を持っていなかったため、だそうです。代わりに Marketing APM に Kevin は選ばれていたようではあります。

GE の幹部コースなども有名ですが、こうした教育プログラムが各社で揃ってくると優れた人材が業界全体でより供給されるようになるかもしれず、各社でこうしたプロダクトマネージャー向けの教育プログラムが行われていくと良いのかなと思っています。

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Taka Umada

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein