Andreessen Horowitz に関してのメモ

YC に続いて Andreessen Horowitz の話。スライドにまとめようかと思いましたが、それほどの分量にもならないと思うのでメモ書きです。

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Marc と Ben

a16z のスタートアップに対する姿勢は、たとえば「a16z の人がスタートアップとのミーティングに遅刻したら1分あたり10ドル(5分で50ドル!)の罰金」という原則にも端的に表れているように、スタートアップをリスペクトする文化に下支えされていると言っても過言ではないかなと思っています。

その文化を背景に、YC と同様、スタートアップをどれだけ製品開発と顧客に集中させて、それ以外の業務をVC側で引き受けられるか、というところに気を払っているのが特徴的なように見えます。

具体的にはAndreessen Horowitz では通常の投資業務をする 27 人の投資家のほかに、19 人のマーケットデベロップメント担当、7人のExecutive Recruiting、12人のテクニカルリクルーター、9人のマーケティング支援担当、4人の corporate development (いわゆる Exit 支援) 担当、22人のオペレーション(Marketing など)支援担当を採用し、通常の VC とは規模の違うチームを構成しています。これにより、投資だけではない継続的な value-up を支援を可能にしています。

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サポートメンバーの人数の多さ

そうした大きな戦略性を持ったうえで、a16z の戦術的な部分として目立つのは以下なのかなと思います。

1. コンテンツによるエコシステムの構築
2. ソフトウェアを使った Relationship Management
3. 継続的な新しい取り組み

■ 1. コンテンツ

YC にとっての Paul Graham や GV の Library がそうであるように、a16z では様々なコンテンツをコンスタントに出してます。スタートアップのエコシステムにおけるコンテンツ供給をして、それが VC へのマーケティングに繋がっており、ファウンダーから尊敬を得ている面があり、その結果良いディールを得られている、という結果につながっているのではないでしょうか。具体的なコンテンツとしてはたとえば、

1.1 Marc の Tweet Storm
1.2 Ben の The Hard Things about Hard Thing (書籍)
1.3 Chris Dixon や Benedict Evans など、full-time パートナーのブログ
1.4 Steven Sinofsky をはじめとした part time のパートナーブログ
1.5 Professor in Residence (Visiting Professor) らのインタビュー記事
1.6 a16z Podcast
1.7 スタートアップ系イベントでの登壇(そこまで多くない印象ですが、Academic Roundtable などを主催してたり)
など、積極的かつ継続的に情報提供を続けている点は凄いなと。

その結果、較的陰に隠れていた VC の存在をよりオープンなものにしたほか、投資判断に関する透明性や何に注目しているのかといったような情報が届くようになって、より a16z の信用度が上がるという仕組みです。

これまで個々のキャピタリスト (Fred とか Feld とか) が情報を出していることはあっても、組織的にこのレベルでコンテンツを出しているところは US の VC 界隈でも少ないと言えます。もちろんほかの VC でやっているベンチマーキング (Index Ventures によるポートフォリオスタートアップ向けのサーベイ等) や経営判断の指標となる KPI の情報交換なども大変役に立つのですが、それだけではない情報を出しているのが a16z の良いところ。

似たようなことを YC もしていて、YC は何より Hacker News というコンテンツ + コミュニティを持っていて強いです。ということで次はコミュニティ系の話で RM です。

■ 2. Relationship Management

a16z ではネットワーキング用のチームが2カテゴリ、合計19人もいるぐらい関係構築に力を入れています。

特筆すべきは、CRM ツールの使い方で、通常のVCではパートナーレベルの人が隠したがっていた人的ネットワークを CRM ツールに入れて社内で誰でも利用している点が新しいように見えます。その結果、人脈の活用をスケールできるようになっています。こうしたツールの重要性ですが、恐らく McK や GS の人が Outperform を出せるのは少なからずインターナルのツールの力 (McK は KMS やデザインチーム, GS は SecDB) があるからではないか、という話は首肯です。

VC にとって RM をちゃんとやるのは大きく3つ意味があって、

2.1 (支援先スタートアップにとっての)顧客
2.2 (支援先スタートアップにとっての)タレント

(あとLPですが、そちらは割愛)

2.1 である顧客とのつながりを VC が持っておくことで、スタートアップが得られるものは、

2.1.1 顧客開発(インタビュー)
2.1.2 顧客
2.1.3 事業パートナー
2.1.4 Exit 先

の大きく 4 つです。特に B2B エリアで 2.1.1 と 2.1.2 は効果的です。B2C や C2C はコネクションでどうこうなる話ではないですけれど、2.1.3 のパートナリングは大きくて、それぞれのトラクションを得るためのナレッジの交換やツールの仕入れなどができるようになります。後は当然 Exit 先も探さなければいけないので Corporate Development チームがそのあたりを頑張る仕組みです。

次に 2.2 タレントですが、

2.2.1 エグゼクティブタレント
2.2.2 テクニカルタレント

の2種類のチームに分けて管理しています。50 人ぐらいになったところから優秀なマネジメント層(それこそプライバシートレーニングとかセクハラ対策とかも含めて)が必要になってくる印象ですが、若者が始めたスタートアップはいわゆるマネジメントをしてきた層とのコネクションがないので、そこをフォローできる人材バンクが必要です。VCは通常そのあたりのタレントネットワークは(顧客という側面もあるのでしょうが)もっています。ここまでは従来通り。

a16z で新しいのは Callahan を中心に technical talent のネットワーキングも開始したところです。12人のテクニカルタレントへのネットワーキングを行う人を in-house で持ち、特に優秀なエンジニアとプロダクトマネージャとデザイナーのDBを拡充している。そこでスケールするシステムが必要になって CRM 導入という形が効いてきているのではないかなと。ちなみにコードの質をチェックしたりしているらしいです。

2012年時点で 1,000 人の executive、5,000 人の engineer / designer / product manager の登録が DB 内にあって、主に学校系を出自とするネットワークが強いそうですが、コミュニティやミートアップのサポートなどを通して DB を拡充している模様です。そのDBを活用して数年前の時点でポートフォリオへの 1,300 人の人材紹介、うち 130 人が採用に至る、と素晴らしい成果が出ています(元からの知り合いとかでない限り、スタートアップにとっては数十人面接して1人採るぐらいな印象なのでかなり高いのではないでしょうか)。

同様の取り組みとして Charles River Venture が biz dev サービスをスタートアップに提供しているっぽいです。

一方 YC の話をすると、YC のネットワークは2種類あって HN と卒業生です。HN には多くのテクニカルなエンジニアが集まるほか、YC 生は job description を投げられるようになっていて、HN経由でトップレベルのエンジニアの採用を手助けしてくれます。また YC は卒業生のネットワークが 2,000 人に近づいてきており、単純にファウンダー同士で様々な顧客やパートナーの紹介がされるだけではなく、一度スタートアップに失敗してしまっても、成功している同期生や卒業生のスタートアップに合併吸収されるといった防波堤的な役割があります。

■ 3. 継続的な新しい取り組み

a16z は見ている限り、新しい取り組みをし続けていて、たとえば

3.1 In-house specialized partners
3.2 Internal Tools
3.3 Professor in Residence

などを個人的には注目しています。

まあ in-house の話は上記でいろいろしたので、詳細は省きますが、これは Hollywood のタレント管理システムを参考に、特に CCA や Allen & Company にインスパイアされているようです。

個人的に注目なのは 3.2 の internal tools で、CRM をはじめとして様々なソフトウェアで VC 業務をスケールさせようとしていることです。これはYCにも通じるところでありますが、ソフトウェアに投資する側がソフトウェアを使わない、というのは正直避けたほうが良い事態だと思うので、すごく好ましいです。なお YC や a16z のほか、First Round Capital なども internal tools を活用していて、FRC はポートフォリオ間でのディスカッションボードなどを運営している模様 (FRC はコンテンツもよく出してますね)。

3.3 の professor は最近頑張っているところですが、Stanford などの大学を中心に Interdisciplinary なエリアを専門とする教授を Professor in Residence として採用し、R&D出身のスタートアップを支える体制になりつつあります。YC も Sam Altman の方向性的にそっちなので、YC 出身でアカデミアといえば a16z が引き受けることになるのかもしれません。

とまあそんなところで、Andreessen Horowitz は凄いなぁと思った感想文でした。

■ Reference

http://www.vccafe.com/2011/04/27/how-can-venture-capital-funds-differentiate-themselves-vc-wish-list-part-2/

Written by

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein

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