a16zの「クラウドコンピューティングの終わり」と、IoTではなく”エッジ”の帰還
先日行われた Andreessen Horowitz 主催の a16z Summit に参加した知人が、その中で特に印象に残ったという、a16z の Peter Levine による “Return to the Edge and The End of Cloud Computing” (クラウドコンピューティングの終わり) の録音が年末に公開されていたので聞いていました。
確かにこのセッション、IoT という言葉を使わずに、エッジという言葉を使っているところあたりが印象的です。
IoT ではなくエッジという言葉を使うことで、IoT だけではなく自動運転車やドローン、ロボットなどをその言葉の範疇に納めることができます。
また IoT と言うと、センサから得たデータの主な処理はクラウド側で行われる、というイメージがありますが、現在は端末側で大量のデータを持ちながら(エッジがデータセンターとして機能しながら)、端末側でリアルタイムで処理をしていかなければいけない状況になりつつあることを考えると、確かに IoT という単語ではなくエッジという単語を使ったほうが良いのかもしれません。特に車やロボット、ドローンやメガネなどはリアルワールドの情報をリアルタイムで処理しなければいけないので。
もちろん単に少し言葉を変えただけかもしれませんが、言葉を変えることで世界の分節の仕方や認識の仕方が少し変わるというメリットもあります。
集中と分散の繰り返しによる、2020 年からの”エッジ”の台頭
計算する場所は集中と分散を繰り返し、メインフレームの centralized からクライアント=サーバー型の分散 (distributed) へ、そしてクラウドの出現とモバイルの出現で主な計算自体は再び centralized されてきたので、次は分散してエッジ側にパワーが行く、というのは議論として確かにありうるように思います。さらにその背景として、機械学習の性能向上がエッジのポテンシャルを解放しているという点を挙げているのも説得的です。
そうした流れから、
- センサーデータ量の爆発が今までのクラウドを殺す(データの転送が間に合わない)のでエッジ同士が繋がる P2P コンピューティングモデルに期待、かつ Data-centric なプログラミングが重要になるのでは
- 機械学習やビジョン用のチップがGPU並に一般的になるのでは
- 分散したエッジの管理やネットワーク、セキュリティが重要なのでは
などなど、技術の未来予測から逆算した新しい挑戦の存在や現在のビジネス機会について触れている良いセッションです。当然と思われる内容かもしれませんが、個人的には考えがうまく整理できました。