30代からのスタートアップ: 年々高くなる起業家の年齢
スタートアップは決して若い人たちだけのものではありません。特に B2B の領域では、起業家たちの創業時の年齢は比較的高まる傾向にあります。
たとえば時価総額 1,000 億円以上のスタートアップを分析した 2015 年の記事では、そうしたスタートアップ(=ユニコーン)を 84 社ピックアップし、創業時の創業者の年齢の平均を調べたところ、34 歳という結果が出ました。さらに分野ごとの創業時の平均年齢は以下の通りです。
- B2C (オーディエンス企業): 30 歳
- EC: 32 歳
- SaaS: 35 歳
- コンシューマ製品/IoT: 36 歳
- 法人向けソフト: 38 歳
オーディエンス起業と呼ばれるソフトウェア系の B2C はやはり若めな人たちが多いですが、B2B 系やハードウェアが関わってくる分野では創業時の年齢が高めになっていることが分かります。
日本国内でも、B2B SaaS のスタートアップやハードテックスタートアップが増えるに連れて、起業家の年齢は徐々に高まっているようにも感じています。
こうしたスタートアップの分野の変化や、起業環境の改善を受けて、2013 年時点で「VCが支援するスタートアップの創業者の年齢が年々高くなっている」ことが指摘されています。
実際 Y Combinator に入る人たちの平均年齢、つまりほぼ創業時の平均年齢は、2011 年には 26 歳でしたが、2013 年には 28 歳、2015 年冬には約 30 歳と、まさに年を追うごとに一歳ごと増えていっています(最新のS16は少し若くなって28.8歳)。
若い人には若い人の、少し年を取った人は年を取った人なりの戦い方がある、という当然のことでしかありませんが、スタートアップは若い人のもの、というわけではないということは、どうやらUSでは確かのようです。
30歳前後の人たちのメリット
しかし、さきほど挙げた、YC の創業者の年齢が年を追うごとに上がっている例などを見るに、2011年で26歳、2015年で30歳の、つまり1985年生まれ前後の人たちは、
- 若いときには Web 2.0 という流れに乗ることができ、
- 年齢が上がるに連れてスマホというプラットフォームができて、
- さらに今なら SaaS や AI の波に乗れる
という、IT系スタートアップのゴールデンエイジを生きることができた世代なのかもしれません。さらに周りにはスタートアップでの成功者も多く、同世代で起業のためのノウハウも溜まっており、色々聞きやすいというメリットがあるようにも思えます(日本でも86世代は仲良いですし)。国内の資金調達環境もかつてないほど良くなっています。
数十年後、後から振り返って考えてみれば「あのとき起業していれば良かった」と思えるような、そんなチャンスに溢れた時代がまさに今なのかもしれませんね。