「御社の独自のメトリクスは何ですか?」あるいはプロダクトのビジョン

Taka Umada
4 min readJan 21, 2016

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本日はメトリクスのイベントへのご参加、ありがとうございました。会のあと U さんと議論させていただきましたが、メトリクスの議論は本当に難しいなと改めて思いました。

ただ、改めて重要だと思ったのは、メトリクスを決めるときに立ち返るべきはビジョン、言い換えれば「このプロダクトはどういうプロダクトであるべきか」という理想像なのだろうなと、今回の会を通して改めて感じたので書き留めておきます。

独自のメトリクス

Linkedin, Facebook, Twitter でプロダクトを成長させてきて、現在 Greylock で VC をやっている Josh Elman は「”本当に”にユーザーが使っているか分かるメトリクスを持て」(500 Distro での PPT)と言っています。その本当の使われ方というものはプロダクトによって異なっているでしょうし、その違いが「スタートアップは(勇気を持って)各社独自のメトリクスを持て」ということに繋がるのだろうなと考えています。

たとえば Linkedin では PV ではなく「プロフィールページの PV」をメトリクスとしておいていました。これはタレントを探すサービスだからプロフィールを見る数が本当に使っているユーザー数になるはずだからそう設定した、と Josh は言っており、そこには Linkedin というサービスの本来のビジョンを感じます。

同様に Medium では Total Time of Reading がメトリクスであるのは、彼らのプロダクトのビジョン — we want people to write, and others to read, great posts — に直結している問題です。

一見似たような機能のプロダクト(たとえば Medium と他のブログサービス)でも、ビジョンが異なればメトリクスは異なるでしょうし、異なっているべきなのだろうなと思います。

なので、もっとも端的にそれぞれの会社のプロダクトの特徴を知りたいときに中の人に聞くべき質問は「御社の独自のメトリクスは何ですか?」なのかもしれません。そこにはプロダクトのビジョンが反映されているはずなので。

ただその一方で、その強い思いやビジョンがマーケットに受け入れられない時も当然あるので、そこは難しいとは思いますが…。

初期のガイドライン

とはいえある程度のガイドラインはあって、初期は Sam Altman の言うとおり、自然なリファラルの発生率かもしれませんし、あるいは高いリテンションなのかもしれません。とにかく少数の人でも良いので愛してもらっている証拠を見つける、といのが初期のメトリクスの置き方として重要なのかなと。このあたりは話せなかったので捕捉です。

補足

逆に言えば独自のメトリクスが決められないということは、プロダクトのビジョンが定まっていない、あるいは度重なる機能の追加や組織の肥大化などでビジョンがブレ始めてきている、ということなのかもしれません。多少勇み足な話のような気もしますが。

その他の補足

もちろん当然ながら、最も重要なメトリクスは状況によって変わると思います。「今は」オペレーションが重要だったり、「今は」継続率が重要だったり。それは今現在のボトルネックがどこにあるのかに依存すると思いますしボトルネックは移動するものなので、重要なメトリクスが移り変わっていくこと自体は仕方ないのかなと。

しかし一個メトリクスを設定したら他のメトリクスはなかなか上がりませんし、そこを決断するにはやはりビジョンが必要で、他とのバランスを考えながら設定しなければいけないメトリクスは、かなり頭を使わなきゃいけないところなのだろうなと。正解はないなと思いながらも、より良い答えを探すためにも、人類が積み重ねてきた知識をうまく使いたいものです。

今日はこちらの資料をベースにお話しました。

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Written by Taka Umada

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein